タカツテムの徒然雑記

主にアニメや漫画・ライトノベルの感想を投稿するブログとなっています。

竜送りのイサギ (1) 感想

剣の腕前により天下に名を知られると言えば誉と思えるけど、イサギの場合は斬首の腕前によって”斬聖”と知られているというのは何とも哀しい話。つまり知られるだけの首を斬ってきたという事だろうから


あまりに忌み事の匂いが濃すぎて人どころか竜すらも近寄らないイサギに唯一平然と接するタツナミという人物はそれこそ親父を想起させる人物に思えたのだろうな…
「きょうもやるぞ!!」と言われた瞬間のイサギの表情ったら普通の少年みたいだし

イサギにとって人と相容れない理由は首切りだけでなく、罪人の記憶が見えるという特殊な能力に拠る部分もあったのかな
彼にはそれだけ自分を否定する理由がある。だからこそ、それすらも平然と受け容れたタツナミを特別に思える。だからこそ、タツナミの首を斬らねばならぬ境遇も相手の平然とした顔も受け容れられない
ならば、何もかもを受け容れた上でイサギに「お前も使命を果たせ」と言い渡したタツナミの言葉はイサギの今後を決定づける言葉であり、それに則って首を斬れたイサギはタツナミの意志を継ぐ人間と言えるのだろうね

本作の加速度が上げるのはここでイサギが継いだのが意志だけでなく竜に関する記憶も含まれていた点か
本作の世界において崇高な存在である竜の死を導いた記憶はあまりに特別。それを目的にチエナミが近付いてくるのも、それを理由にイサギが島の外に出る事も在る種当然

ここでイサギの相方となるチエナミは逆にタツナミから継げなかった人間か。だから最初は継いだイサギに噛み付いたし、タツナミの竜殺しを引き継ごうとする
イサギが望んでタツナミを継いだ訳では無い点と比べると大違い。その為か、年齢的にも社会的にもイサギの先達者と言えるチエナミは島の外に出る彼の案内役となるね

けれど、その先達の構図が引っ繰り返ったのが人斬りのシーンか
チエナミの剣技や捌きは悪いわけじゃなく、むしろ剣客と評せるもの。ただ、イサギを前にすれば腕前の違いも心構えの違いも歴然。もはやイサギの斬り姿は美しいとまで言える
イサギを見てチエナミは己の未熟を悟るけど、一方で悟れるが為にイサギの未熟も見えるというのは面白い

イサギもチエナミも不足がある。そんなバディが竜殺しという難題にどう挑んでいくのだろうね

夏目友人帳 漆 第七話感想

第七話苦手なふたり

2人だけの秘密として祖父と兄から始まったものが、時を超えて兄と妹のものになった構図が心温まる情景となっているね
秘密は隠されているから知らない者にはちんぷんかんぷん。勇の存在を知らなかった学友達には彼氏に見えたように
大切な人が持つ秘密をどうやって知るのか、明かすのかという点が優しさを伴って描かれていたように思えるよ

多軌にとって帰ってきた勇は秘密の塊。外食の理由も散歩の理由も判らない。おまけに相性が良くないと思っているから突っ込んで聞く事も出来ない
ここで多軌が夏目を頼る展開は良いね。夏目と多軌は妖が見える秘密を共有してる為か別の秘密へ迫る相方ともなる
そして多軌が夏目を「大事な友人」と言ったから勇も信頼のきっかけを得る

勇は2つの秘密を持っていたタイプかな
でも彼は体調と縁起石どちらの正体も知らないから多軌に明かせない。けど多岐に隠し事をしたいわけじゃないから、別の事情として鍵穴を教えて一緒に探し始める
この行動からは勇が多岐を大事に想っている事が見えてくる。だから秘密の正体が家族想いの証である点にすんなり納得できる

最初は祖父と兄だけの秘密。だから祖父との接触が減り、無くなれば秘密は継続できない。そこへ妹を想う気持ちが改めて伝わる事で思い遣りが籠もった秘密も蘇る構図は良いね
また、そのような秘密の遣り取りを通して、勇から夏目へと新たな秘密が言い渡されるのは茶目っ気溢れる可愛さを感じてしまったよ

わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ! (※ムリじゃなかった!?) 7 感想

真唯は話を広げる上で本当に便利というか、この人何でもありだなと云うか…
ただ、れな子と紫陽花の二人旅という時には言葉に詰まる局面も有った空間が彼女の加入で言葉途切れない空間へと変化したのは確か
一方であの二人と並ぶとれな子の場違い感も際立ってしまうのは生まれ持ったものの違いか……

あと、二人旅から三人旅となった最大の違いはれな子が関わらない局面が生まれた事か
これまでは紫陽花が何らかの悩みを表出させたとしても、れな子がそれを目撃する事が多かった。けれど53話で行われた真唯と紫陽花の会話はこれまでの会話と一線を画すものだね。真唯だけがれな子では追求できない紫陽花の恋心に手を伸ばせる

真唯による告白はまるで牽制かのように感じられるし、あと一歩を踏み出せない紫陽花を挑発しているようでもある。でも、れな子への想いは持ちつつもれな子だけを唯一と出来ない紫陽花だから、れな子が真唯取られたとしても皆との関係維持を考えてしまう
これは真唯と紫陽花の考え方の違いがモロに出た形だね
真唯は大浴場で語っているように本当に欲しいもの唯一がれな子となっているから、多少はれな子の為に無理ができる。今回の旅への合流などがそれだし、見方によっては紫陽花への告白も同様。真唯は自分の判断に選択に迷いを抱かない
ただ、紫陽花は自分が出した答えに納得出来ているわけではないから、表情も俯いてしまうと…

ここで罪作りと思えてしまうのは、れな子は真唯の恋情は知っていても紫陽花に関しては想像もしていない点だね
だから大浴場でも変わらない関係を二人に求める。それは紫陽花が出した答えと一致するものでも有るけど、やはり納得できるものではないかられな子の隣にいるのが苦痛になる
通り過ぎていく電車に合わせるかのようにして呟かれた想いを「つまんない話」と切って捨てる紫陽花の心情を思うと心苦しくなってしまうよ…

これが5巻の『瀬名紫陽花のお話 第三章』に繋がっていくのか……


結局、今回の家出旅行でれな子は紫陽花の心に触れられた部分はかなりある。けれど、旅行中に紫陽花が自覚してしまったとても重い感情には気付けなかった
紫陽花は変わってしまった、れな子は変わらない。変わらず紫陽花に優しさを見せる。紫陽花にとってそれは手の届かない、もしくは伸ばしてはいけない優しさかもしれない
紫陽花が秘匿するつもりだったれな子への想い、それが彼女の意に反して表出してしまったシーンは衝撃的
あれは変化してしまった紫陽花という存在にれな子が初めて触れてしまった瞬間だったろうから

旅に無理やり付いていく事が出来たれな子でも流石にこれには触れられない。紫陽花が進んでしまった時計の針をどう扱うか見守るしか出来ないし、その判断の意味を残酷なまでに知らないれな子ではそもそも手出しが出来ない

変わってしまった紫陽花を変わらず友達と思うれな子に紫陽花はどう接するのだろうね……

君は冥土様。 第7話感想

第7話君は遂にそこに気付いた。 -THE HALLOWEEN NIGHT WITH YOU-

これまでが精神面で雪の普通を目指すEPだったなら、今回は見た目や好みでの普通を探る話と成ったのかな
家や街に溶け込み過ごす雪の日常は普通そのもの。でもやはりメイド服を着こなした女性なんて普通はお目にかけない訳で
なら雪は普通で無いのか?という点を描いていたね

李恋やグレイスが最初に選んだ服はアレだったけど、以降の服はお似合い
けれど既製品の服って上手く選ばないと個性は出ず無個性と成ってしまう。普通の服を似合うからと着ても、そこに雪らしさはない
だからか、彼女にとって最大の自分らしさであるナイフはどんな服でも手放せない

ゾンビに怯える雪は可愛らしいけど、ここにも暗殺者ならではが現れるね
映画は暗殺に格好の場、ゾンビは殺しても死なないから怖い。その感性は普通でないけれど、一方で雪らしさに溢れている
となれば、雪が目指すは無個性な普通さではなく、雪らしい普通さと言えるのかもしれない

雪が明かすメイド服の来歴には彼女の想いや人生が詰まっているね。もち太のタオルも同様。そこにアイデンティティが在る
ならメイド服を普通でないと定義するのでなく、雪が好むメイド服を着る普通の女の子を目指せば良い
暗殺者だけどメイドだけど普通を目指す雪の理想が見えた気がしたよ

バツハレ 7 感想

バツイチ彼女持ちの社員に婚約者を演じさせるなんて正気の沙汰じゃない。特に何故和光を選んだのか?という疑問があったけど、給湯室か~(笑)
2巻のアレを読んだ時は社内でなんて事をしているんだ、と思ったものだけど普通にバレていたのか。しかもそれを強請りに使われると
あの件を押さえているなら、良い手駒として和光は使えるか(笑)


偽婚約者相手となった加住はこれまた気が強そうと云うかズケズケと物を言うタイプだね。ただ、この性格で困るのは真に恋愛事に発展しようとした時だけで演技で済ませられる今回なら問題なしの筈
…と思っていただけにズケズケ言うのが口だけでなく拳もだったとか度し難い……。自分からキスを要求しておいて、その通りに行動したらカウンターの拳が飛んでくるとかお近付きに成りたくないなんてレベルじゃないよ(笑)

ただ、加住としてはそのような反応を返してしまう和光と偽婚約者になったとしても跳ね除けたいのが赤羽橋という相手であって
加住にこれだけの覚悟をさせる赤羽橋はひと目見てやばい人下と判ってしまうタイプ。コンマ一秒でゼロ距離まで近付いてくるの怖すぎる……
だから今の加住は追い詰められた人間として手段は選んでいられない。それが和光やくるみの宿泊に繋がっていくのだから尚更混沌具合は増していく

でもそれは加住の事情であってくるみが受け容れる道理は無いと思いきや、くるみはくるみで和光が自分と姉を姉を重ねている状況を解決したいのか
ならどのような展開になったとしても、この状況は和光にとって試練と言えそうだ


練習とは言え手を握ったりキスをしたりする行為、今の和光がくるみ以外に反応してしまう事を考えれば、加住相手にも反応してしまうのは仕方ないかもだけど、それでくるみと燃え上がってしまう二人は本当にもう…
ただ、その現場に接した事で加住の中で和光への気持ちに変化が生じ始めたような……

ブコメで言えば偽恋人から本気へなんて星の数の如く存在するネタだけにちょっと期待感が湧いていたら、赤羽橋が仕掛けた"チェック"があまりに常識外れで吃驚したよ
これはアレか?『〇〇しないと出られない部屋』とかそういう感じか?
今の和光と加住はキスまでなら済ませている。でもそれ以上なんてそりゃ偽物の関係なのだから想定してない筈で
奇妙に寒い部屋から本気で脱出するつもりの和光と、そんな彼に心変わりし始めた加住はどうなってしまうのだろうね?

男子禁制ゲーム世界で俺がやるべき唯一のこと6 百合の間に挟まる男として転生してしまいました (6) 感想

この巻は丸々ぎっしりと三寮戦を詰め込んでいる事も有り、かなり迫力ある内容となっているね
各寮の力関係を比べる一大イベントだからこそ寮長であるミュールの真価が問われている


前巻の中盤頃までは実力どころか人望すら無く、また家の支援すら望めないとなれば彼女に期待する者なんて皆無の筈。けれど燈色やクリスが彼女の頑張りを肯定し後押しする事で少しずつ変わっていく様子には感極まるものを覚えたり
この巻でもその傾向は継続。序盤は尊大な態度に終止して笑われていた彼女が畳に額を擦り付けてお願いし、寮生達がその姿に心震わせて戦意を高めるなんて、あの頃には考えられない光景
ミュールはそれだけ大きくなった

ただ、その程度で覆すなんて難しいのが三寮の実力差
だから燈色もクリスも全力以上の実力を行使しなければならない。特にレールガンに対する燈色とクリスそれぞれの超カウンターには興奮させられたよ
それだけに燈色の無理に限界があると告げられたのはどこか予想できた話では有ったけど

以前から限界があると通告されてきた燈色の払暁叙事の限界の意味合いが全く異なるものであったというのは驚かされたし、それを知っても燈色が行動方針を変えなかった点には納得と衝撃が有ったよ…
誰かの為なら簡単に自分を捨てられる燈色が、あと少しでミュールの願いが叶うという段で自分を甘やかす筈がないんだよね…
そのような燈色に推されているからミュールもきっと諦めずに居られるんだろうね


燈色やクリス、そしてミュールによる奮闘は認められつつも劣勢も認めざるを得ない重苦しい状況だっただけに、黄の寮に味方したお嬢はマジ清涼剤でしたよ……!
てか、お嬢の大言壮語は今に始まった話ではないけど、「たとえ、仲間たちに糾弾されようとも、わたくしはわたくしの正義を貫きますわ」と言い切ったシーンには痺れてしまったね

けれど、実力は無いものだからお笑い草な扱いになるのだろうと思ったら一応役に立っているし、おまけに大逆転に繋がる重要情報まで届けてくれるし
この巻における主役はミュールだけど、MVPはお嬢だったんじゃなかろうか、マジで


正道でやったのでは勝ち目が薄い三寮戦。それでもミュールの価値を示すには真っ向勝負で勝ちに行くのか…?と思っていたら普通に卑怯な手段を燈色だけじゃなくミュールまで使ったのが驚きだったり
勿論、そこに辿り着くまでに血を吐くような思いを経由しているのだけど
どのような方法であろうとアレはミュールが皆の力を借りながら一人で立ち上がる事でしか到れないチャンスであり、そこに到ってしまえば後はミュールが全ての頑張りを背負うしか無いというのはかなりドギツい展開と感じられたよ…

ミュールがそのように自分の限界に押し潰されそうになりつつ自分にも他の寮長にも親の加護にも勝とうというなら、彼女を見守る燈色も限界を超えなければならない
そのような背景が有るからって、まさかここで燈色がフェアレディ世界での記憶を取り戻す段取りになるとは思わなかったが。てっきり、クリスとの睦み合いを知らないままクリスの好意に気圧されていくものかと思っていたが
ただ、ミュールの為に戦うという理由付けが有る事で、そしてクリスが純心から燈色を好いていると理解したからか、クリスに好かれている状況にある程度の吹っ切れを見たのは大きな変化であるように思えたよ

ミュールも燈色も自分の限界を超えなければならない
その代表格が人としての在り方か。ミュールの願いを叶える為に人間である事実をあっさり捨ててしまった点には瞠目せざるを得ない
自分より圧倒的強者の劉に勝つにはその手段しか無かったわけだ
ならば、ミュールとて勝利の為に人である自分にこだわるなんて愚行。自分を貶める弱い自分を捨てて、皆が誇れる寮長に成ろうと絶叫する
あの瞬間のミュールには本当に驚かされた。弱さに甘んじていたあの頃の彼女からは本当に考えられない姿だったから
どのような方法であろうと不可能を可能に変えた彼女の価値には賞賛を送るしか無いね


ただ、この状況って燈色もミュールもボロボロを通り越して生きてるのが不思議なレベルだけど次巻どうなるの……?

魔法使いになれなかった女の子の話 第7話感想

第7話私、ハッピーホリデイなのに悲劇です!

クルミより先にユズが古代魔法使うとは思わなかった、マジで思わなかった……
ただ、それは手帳を持たない者でも魔法を使える、魔法使いに成れる証。可能性は誰にでもあるからこそ、この局面で問題となるのはクルミ自身の心、彼女が自分の可能性を信じられるかという話になってくるのか

クルミは魔法を使えず、魔法使いに成れるとも思えていない。おまけにユズが魔法を使う姿を見てしまえば、より自分は魔法使いに不適格と悩んでしまう
今のクルミは自分で自分を狭めている
それだけに魔法使いとなった後から使命感が湧いたキョウは良いお手本かな。夢を信じたから可能性が付いて来るとも限らない

だからこそ、ユズが古代魔法を使ったシーンを再現するようなピンチは彼女の可能性を試すシーンとなった筈なんだけど、どうしてあんな展開に…?
クルミ自己実現できないまま。それでも手帳をユズが受け取らなかった事は彼女の夢がまだ終わらないと言えるかもしれないが…

あと、恋愛脳が酷くなるユズやアニクは何なの……