タカツテムの徒然雑記

主にアニメや漫画・ライトノベルの感想を投稿するブログとなっています。

ガールズバンドクライ 第4話感想

第4話感謝(驚)

ロックを体現しバンドをやる気になった仁菜が次に向き合うのはバンドメンバーの問題
仁菜は自分の鬱屈を表現してバンドに至った。なら同じバンドに居る2人はどのような鬱屈を抱えているのか?そのような疑問に至った仁菜が少し成長したEPと言えるのかな?

鬱屈がまず表出したのがすばるか
バンド経験を持つ桃香はすばるの逃亡にバンドあるあるを予想する。けれど仁菜は自分が鬱屈としているからこそ、そこに納得できない何かを見出す。桃香相手でもそれは同じだね
だからすばるが祖母に対して何も反抗できない状況も当然のように納得しない

すばるはバンドと演技で板挟みの曖昧な立場。学業すっぽかしてバンドに入れ込み始めた仁菜は納得しない。判った振りする桃香にも従わない
そうして近付いたすばるから知れるのは演技や祖母を心から嫌っている訳では無い、離れたがっている訳では無いという鬱屈
なら、すばるが選ぶ答えが一つで良い筈がない

加えて祖母の想いも知ってしまえば、仁菜が自身の反抗を通せば良い状況でもなくなる。だからって掌クルクルする仁菜は本当に異質過ぎて面白いが
すばるが選ばされたのは何かを決めず隠れてバンドをやるという反抗。演技と言いつつドラムを叩いた彼女の姿には一皮剥けた印象を覚えたよ

時光代理人 -LINK CLICK- 第2期 第3話感想

第3話2つの葬儀

前回真面目に肉弾戦していたトキ達が可哀想になるじゃないですかってくらいにパパさんが超絶存在すぎる……。あの瞬間だけギャグ空間になってたよ?
てか、彼らが初登場したEPって番外編だった筈なのに、本編への影響が大き過ぎる…
ひとまず急場は過ぎた。けれど、何の解決にも至っていない点が不穏

陳彬の死は理不尽である為に納得できる者は居ない。そこへ劉旻の死に納得しない者達と遭遇するのはやな偶然なのだけど、あちらとこちらでは死への印象が全く異なるね
特に陳彬の奥さんが遺影を前にした際の慟哭がその死にどれだけ納得していないかを表している。そのような死を繰り返してはいけないと関係者に思わせるものになっている

だからトキがするのも死への絶対的ではないささやかな抵抗。死そのものを回避するのではなく、不幸せの一部を回避する
死の過去は変えられなくても得られなかった温もりの過去は変えられる
だとすれば、敵と思わしき存在がヒカルに届けたのが死ではなく過去の一片だった点は何を意味するのだろう?

ゆるキャン△ SEASON3 第4話感想

第4話畑薙アタック!!地獄のデスロード

キャンプ場へ向かうリン・綾乃組となでしこ、両者の道のりは大違いな筈なのにリン達だけでなくなでしこすら地獄のような道を進む状況はちょっと笑えてくる
キャンプ場への道だってキャンプの一環、その意味では予想外の驚き体験はキャンプを楽しむ一要素になった…のかなぁ(笑)

ただ、それでもなでしこよりリン達の方が険しい道を進んでいるね
あの長距離と険道をバイクで行こうと思える2人の気が知れない
でもそのデスロードが2人の仲を深めている。辛い道のりを共に越えた体験が2人に掛け替えのない絆を生じさせているね

なのにデスロードよりキツイ吊り橋が待っているなんて凄い話。いや、凄い橋
もはやあのような体験をした二人は一蓮托生、魂まで同化したようなもの
そうして温泉で溶け合った2人が今度こそ向かうはキャンプ場。前座としてはインパクト有る体験をしたリン達が行うのはどんなキャンプになるのかな?

人間失格 感想

読んでいると心がざわついて来るような作品でしたよ……

太宰治という人間をそのまま写し込んだようで居て、それとも人間の絶望を押し込んだようで居て
葉蔵という人物が辿った生涯は全て描かれているわけではないけれど、彼が体感した濃密過ぎる絶望が本作では人間という全てを表現しているようにも感じられる

はしがきで言及された3枚目の写真がてっきり老齢の頃合いかと思わせていただけに、終盤でそれが30歳手前だったと明かされた事で受ける衝撃は凄まじい


葉蔵という人物は不思議な人間性を備えた人物と感じられたな
少年期は愛嬌を振りまく事で人に好かれる人間となった。でもそれが自覚的且つ計算的に行われるとなれば、それは人間として異質という話になる。でも、ここで彼が何か得する為に愛嬌を振りまいているのであれば単純に嫌な奴と片付ければ良いのだけれど、彼の場合は人を怖がっているから愛嬌を振りまいている。他人という恐怖から逃れる為に道化を演じている
それが後年まで彼が人に好かれる要因となるのだけど、その点が葉蔵にとって全く自己肯定に繋がらない点には歪さを覚えずに居られない

その意味では少年期の彼に共感できる部分は少ないね
はしがきで言及されている1枚目の写真の印象に通じる話では有るけれど、大局的に見れば「いやな子供」という印象を拭えない

全く共感できない葉蔵という人物の印象が変わり始めるのはツネ子と心中する下りになってからかな。これから死のうという時に牛乳代を払うお金もない。何から何までツネ子に払わせてばかり
それは自らが失おうとしていた命にすら及ぶ
これは端的に言ってしまって駄目人間、又は人間の出来損ない
けれど、ここまでの醜態を見せつけたからこそ、読者は葉蔵の姿に自分の醜さを重ね始めてしまうのかも知れない

道化を演じて人に好かれていたのに、心中に失敗して女どころか命にすら振られてしまった彼はこの辺りから加速度的に堕ち始めるね
渋田が差し伸べた手は取れず、親友が見せた別の顔に幻滅し、厄介になった女の傍にすら居着けない
もはや人に恐怖していたのか、恐怖を人生としているのか曖昧になってくる

そんな彼にとって自分を曖昧とさせてくれるお酒が最高の友となってしまうのはもしかしたら当たり前の話かもしれなくて
そしてお酒に溺れれば溺れるほど、あれ程に抱いていた他人への恐怖が薄れて
後に彼が麻薬にハマるのも同様の理由か

人為的に己の絶望を薄れさせていた彼だからこそ、天然的に絶望や不信と無縁のヨシ子に惹かれたのかな?
ヨシ子と結ばれて得た一時的な平穏は結局ヨシ子という薬によって成立している。だから彼女が汚れてしまえば、もっと言ってしまえば無垢なる信頼で構成されたヨシ子がそもそも綺麗では無いという疑惑を持ってしまえば、葉蔵の人生は再び崩れてしまう


ヨシ子のあのような面が描かれると果たして人間として失格だったのは葉蔵だけだったのかという疑問を覚えてしまうね
葉蔵は病院に入れられた事で人間失格と自身に烙印を押すが、その前から人間として不出来な面が山程描かれてきた
でも、そんな葉蔵をマダムは擁護し彼の父をこそ批判する
また、葉蔵に悪い遊びを教えたのは堀木と言えるかも知れないし、他の人物とて人間としての不足や不出来を見出せるかも知れない

葉蔵だけが特別に失格だったのではなく、誰も彼もが失格だった。葉蔵だけが人間を象徴する超常的な存在かのように絶望を体現してみせただけで
そういった存在だからこそ、読者は『人間失格』を読んで葉蔵に自身を重ねてしまうのかも知れないと思いましたよ

怪異と乙女と神隠し 第三怪感想

第三怪角といじめと髪飾り

前回の話によりおバカアニメの印象が強まっていただけに、がっつりと虐め描写があって度肝を抜かれた…
自分が手酷い虐めを受けたから虐めのない学校を作りたい。でも、その為に他者を害するようになれば虐めをしていた側とさして変わらない。これはこれでしっぺ返しとなったのかな?

畦目の体験はかなりキツイね。自分だけが被害に遭うに留まらず、被害は祖母にまで及んでいる。それは虐めは連鎖すると実感するに充分過ぎる体験
だからこそ、虐める者を学校から排除する遣り方を選んだのだろうけど、そもそも生徒を学校から追い出すなんてまともじゃない
結局は畦目も危険人物として蓮に狙われる破目に陥ったわけだ

蓮の能力は面白いね
本作の呪いや怪異は使用した本人に返ってくる類が多いように思えるけど、蓮は直接的に相手の能力を反転させている?
そして返ってきた呪いは畦目を傷付けたが、同時に呪った生徒達も返ってこれたようで
めでたしめでたしと言える展開だけど、オチがどうにも不穏…

機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争 #1感想

#1戦場までは何マイル?

機会が有ったので今更視聴。前々から評価の高さは聞いていたのだけど、どうしてか食わず嫌いで避けていた作品
子供と戦争の関わりを宇宙世紀を舞台にして描いていく感じなのかな?
既に戦争に身を投じているサイクロプス隊と戦争を身近と思わないアルの対比が強烈な初回

戦争も連邦のMSも見た事がないアルや周囲の少年にとって戦争はむしろ格好良いものに類しているようで
だから忍び込んで本物のMSを見に行くのだってきっとスパイ遊びみたいな行為の延長
街中で射撃遊びに興じる様子が本物の戦争の後に描かれる事で生じる違和感は強烈

アルは幸福な少年として描かれているのではなく、世界の不条理と直面している。でも、それは戦争に関わるものではなく、家庭内の問題。それでも少年にとっては大きな問題だから近所に里帰りしてきたクリスに心開いたのかもしれない
今のアルにとって戦争より家庭の方が余程大きな問題。でも、それを解決する手段は持たないわけだ

驚きなのは少年達にとって街中でMSが戦闘を繰り広げる姿を見ても「珍しいものを見た」程度の反応になってしまう点か。あれは衝撃的
戦争を身近と思わないから、街中の被害を視界に入れず珍しいMSを追って落下地点へ向かう
そうしてアルに向けられたのは人を殺せる銃。あの出会いはアルと戦争の関わり方をどう変えるのか、興味深いね

ビッグ4 感想

読み進める最中は何処かチグハグな違和感を覚える作品だったのだけど、後書きを読んで納得。どうやら短編集を一つの長編ミステリーに再構築した作品だったようで

その為か次々と起きる事件の内容に関連性は無く、ただビッグ4なる存在が関わっている点だけが強調される
この次々と起きる事件というものが曲者で一つ一つの事件は短編らしく何らかのポイントに気付ければすぐに解決できる類。けれど、それぞれの事件の犯人は変装の名人であるナンバー・フォー、いわばポアロは毎度犯人を取り逃している事になる
それどころかポアロを挑発するかのように、その変装能力を利用して何度もポアロの前に姿を表すのだから堪らない
まるでおちょくられているかのような気分になってくる構成

でも、ビッグ4が関わる事件を解決し続けるとはつまり彼らの陰謀を邪魔し続けているとも言える訳で
何度も関わる内に少しずつビッグ4やナンバー・フォーの正体に迫っていく様子はミステリらしさに溢れている

ただ、難点を挙げればやはり事件が散発的である点や敵の謀略が荒唐無稽である点か
事件に関連性はない為にそれぞれの事件を解決しても直接的にビッグ4の正体に迫る要素は殆ど無いし、何よりも世界の裏側から陰謀を巡らす巨悪というのはどうにもポアロの敵に相応しくないように思えてしまう
そもそもビッグ4の首魁が登場しないままに終わってしまう点も消化不良気味に感じられるし

代わりに美点を挙げるなら、それはポアロヘイスティングズの何にも勝る友情だね
本作の始まりからして、両者が共に相手を驚かそうと何も告げずに旅行に出るシーンから始まるし、ビッグ4という巨悪を前に行動を共にする2人の絆はとても固いものだと感じられる
特にヘイスティングズが敵に捕まった際に命を失う危機を前にしてもポアロを危険に晒そうとしなかった姿勢や、ポアロヘイスティングズの妻を秘密裏に匿っていた様子等からは2人が互いを最良の相棒と認めているのだと感じられたよ

だからこそ、終盤のあの展開も活きてくるのだろうしね