タカツテムの徒然雑記

主にアニメや漫画・ライトノベルの感想を投稿するブログとなっています。

ビッグ4 感想

読み進める最中は何処かチグハグな違和感を覚える作品だったのだけど、後書きを読んで納得。どうやら短編集を一つの長編ミステリーに再構築した作品だったようで

その為か次々と起きる事件の内容に関連性は無く、ただビッグ4なる存在が関わっている点だけが強調される
この次々と起きる事件というものが曲者で一つ一つの事件は短編らしく何らかのポイントに気付ければすぐに解決できる類。けれど、それぞれの事件の犯人は変装の名人であるナンバー・フォー、いわばポアロは毎度犯人を取り逃している事になる
それどころかポアロを挑発するかのように、その変装能力を利用して何度もポアロの前に姿を表すのだから堪らない
まるでおちょくられているかのような気分になってくる構成

でも、ビッグ4が関わる事件を解決し続けるとはつまり彼らの陰謀を邪魔し続けているとも言える訳で
何度も関わる内に少しずつビッグ4やナンバー・フォーの正体に迫っていく様子はミステリらしさに溢れている

ただ、難点を挙げればやはり事件が散発的である点や敵の謀略が荒唐無稽である点か
事件に関連性はない為にそれぞれの事件を解決しても直接的にビッグ4の正体に迫る要素は殆ど無いし、何よりも世界の裏側から陰謀を巡らす巨悪というのはどうにもポアロの敵に相応しくないように思えてしまう
そもそもビッグ4の首魁が登場しないままに終わってしまう点も消化不良気味に感じられるし

代わりに美点を挙げるなら、それはポアロヘイスティングズの何にも勝る友情だね
本作の始まりからして、両者が共に相手を驚かそうと何も告げずに旅行に出るシーンから始まるし、ビッグ4という巨悪を前に行動を共にする2人の絆はとても固いものだと感じられる
特にヘイスティングズが敵に捕まった際に命を失う危機を前にしてもポアロを危険に晒そうとしなかった姿勢や、ポアロヘイスティングズの妻を秘密裏に匿っていた様子等からは2人が互いを最良の相棒と認めているのだと感じられたよ

だからこそ、終盤のあの展開も活きてくるのだろうしね