タカツテムの徒然雑記

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ヘラクレスの冒険 感想

短編集だけど、そこに「ヘラクレスの難業」というテーマが加わる事でそれぞれ別の事件がひと繋がりであるように感じられるね
また、あくまでも難業であり難事件に限っていない点が面白さを生み出している。だから本来ならポアロが依頼を受けるような案件でなくても難業との関連を見出だせれば受け付けてしまう。それが本作に収録された短編をバラエティ豊かにさせているね


収録されている短編は先述したようにバラエティ豊かなものばかり。だからむしろ真っ当な殺人事件の方が少ないくらい
その意味では事件への対処法すら曖昧な形で始まる『レルネーのヒドラ』は導入も終着も面白いものだったかな
いつまでも止まない噂。その根本に居た怪物を探し出したポアロの手腕は見事の一言

『アウゲイアス王の大牛舎』では珍しい行動を採っているね
大物政治家に降り掛かった一大スキャンダル。普段ならスキャンダルの原因となった事件等の調査に乗り出しても可怪しくない
でもポアロはその政治家の人柄を信頼できるとむしろ協力しているね。まあ、一応は世間にスキャンダルの内容そのものは報道されているから完全に隠蔽しているわけじゃないんだけどさ

意外性が有ったのは『ヒッポリュテの帯』かな
よくよく考えたらミステリでは珍しくもないトリックなのだけど、2つの事件が重なり描かれた事で騙されてしまったな
ミステリは「騙された!」と感じた瞬間がとても気持ち良いだけにこの短編は読後感がとても良かったよ

でも一方で『ヘスペリスたちのリンゴ』のオチも中々に好みだったりする