タカツテムの徒然雑記

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傾国の仕立て屋 ローズ・ベルタン 9 感想

ポーランド風”が大ウケした事で仕事に追われるベルタン。仕事人間の彼女としては喜ばしい事態なのだろうけど、職人の数が限られているなら受注できる数も制限される。普通ならそこで受注をストップしてしまうだろうが、新たなアイディアに拠って修羅場を切り抜けるのは流石だね
彼女の実力を証明する遣り方であると同時に今後の受注へ繋げる布石ともなっている

ベルタンの仕事人としての力量を示すに相応しいエピソードだからこそ、直後に続く同業組合廃止に伴いモード商の未来が左右されるという展開が強調されるね
ベルタンは王妃の篤い信頼を得ているとは言え結局は一介の商人。ベルタン本来の戦場はこちらとも言える
この巻では雌伏しているかのようにこの件に関する危機は発生しなかった。本格的にベルタンに危機が訪れるのは次巻となるのだろうか?


対するアントワネットは寂しさを紛らわせるかのように華やかさを増していくね。“王妃のサークル”とは背徳感がとんでもない事になっている……
王妃の寵愛を受ける限られた人数による集会。王妃自身は楽しめても、そこに含まれない者達には苛立ちの感情を起こさせるもの
サークル内でも寵愛の度合いに違いが有るなら、それはもう一種の権力構造を模しているかのよう

それだけにサークルに含まれていたポリニャック夫人がアントワネットを裏切る形でヴェルサイユから出ていくのは驚きの展開。元々心根の読めない人物だったけど、今回は一際…
そこで「楽しい事をやっていれば戻ってくるんじゃないか」と舞踏会開催へ向かうのは何とも言えない流れだけど、今のアントワネットだとこういう方向性しか採れないんだろうなぁ……

ただ、宮廷がより華やかさを増すなら、それはベルタンに仕事が舞い込む事態を意味するわけで
とは言え、踊りを知らないからとベルタンの関係者でダンスレッスンが始まるのは良い意味で予想外。更にここでレオナールとベルタンのダンスが行われるとなるとちょいテンション上がる
この二人って何か有りそうで何も無いままずっと一緒にいるもんなぁ。それを思えば手を取り合ってダンスする様子を見れただけでも眼福というもの

ベルタンがささやかな恋の匂いを醸し出す他方でアントワネットの方は大きな変化を迎えているね
前々からロザン公にお熱を上げていたアントワネット。そりゃもうそういう意味と受け取るしかない態度であり、ロザン公が踏み出してはならない一歩を踏み出してしまうのも仕方ないというもの
そう考えるとあれだけの思わせぶりな態度を見せつけておきながら、いざ迫ってみたら本気の拒絶をしたアントワネットは人が悪い……

アントワネット周囲が大混乱に陥りかねない一件。そのタイミングで帰ってきたポリニャック夫人って本当に何なの……?良く判らないタイミングで出て行って、ロザン公が失脚するのを待っていたかのように帰ってきたような…
おまけにアントワネットを焦らした事に拠って彼女の寵愛をより得られる立場も手に入れているし

アメリカ独立が絡み始めた宮廷のゴタゴタ、男性から危険視され始めたベルタンと何が起こっても可怪しくない状況。次巻は一体どうなってしまうの…?