陵獄島から出たイサギに突きつけられたのは人殺しの正当性か
島に居た頃は法に基づいた立場により彼は人の首を切っていた。それはいわば許された殺し
でも襲撃された際に殺し返した行為はイサギがこれまでしてきた殺しとは全く異なるもの。例え自分が襲われていたとしても、それはもう法の範疇では無い
だからマヒナは彼らの死体処理を危ない橋を渡らされたと考えるし、これからもそのような危うさを伴うだろうチエナミ達の無謀に口を挟みたくなる
不法に手を貸さざるを得なくなったマヒナだからこそイサギに対し非道に手を貸すよう言い渡す権利がある
それを止めようとしたチエナミは、法ではなく道理や誇りに基づいて止めようとした。彼は人を殺した際に精神を追い込まれていたイサギの姿を見ているからこそ、法に基づいていたとしても要らぬ殺しを彼にさせてはならないと考えている
イサギとチエナミの間には様々な違いが有るけれど、こうして互いの不足を補い合うシーンを見られるのは良いね
殺しとは何かを肝に銘じ直したイサギに持ち込まれるのは竜の剣に絡むいざこざですか
唯でさえ竜殺しによって造られた剣という曰くが有る。職人達が”伝説の剣”なんて触れ込みで鍛造に奔ってしまったように、それに魅入られる人間が居る事に不思議はなかったのかもしれない
そこに信頼に基づく関係があったとしても
その意味ではこの件に対峙するイサギ達は単純な信頼だけで立ち向かってはいけないとも言える
イサギがチエナミやマヒナの教えを受け磨いた交渉法によって自分達の命を安売りせず、信頼と契約によって事に当たると決める流れは納得を得られるものでしたよ
それだけに、面倒な交渉が必要な程に厄介な八雲があっさり現れた挙げ句にすぐ戦闘に至るとは思わなかったけど
姿を現した八雲も竜の刀も尋常ではないね。一振りで大地を割るなんて常識外れにも程が有る…
無実の人間を容易に殺し、これから大勢を殺すかもしれない八雲は殺しへの躊躇いが消しきれないイサギをして、殺さなくては考える相手
だから八雲を殺す為なら、攻略の鍵を握るツバキを殺す事も正当化される…とならずに、納得できない想いに基づいて八雲を問い詰める方針に舵を切るのは良いね
彼の中で何の為に自分は人を斬るのか、という点について少しずつ答えが出始めているような気がしたよ