タカツテムの徒然雑記

主にアニメや漫画・ライトノベルの感想を投稿するブログとなっています。

この青春にはウラがある!

物語には様々な導入が存在するものだけど、本作の導入は一風変わっていると云うか変態度が高いなぁ(笑)
でも、ちょっと高嶺の花のヤバい姿を見てしまったからこそ、この一件を導入に夏彦が生徒会のゴタゴタに巻き込まれていく流れに納得できるとも言えるね

皆が尊敬の目を向ける生徒会長には人に明かせないウラがある。夏彦は期せずして人が知らない裏側に関わる事になるわけだ


でも、考えてみれば人に明かしていない裏側なんて誰でも持っているもので。会長の唯だけでなく、生徒会役員である他の面々も似通っている
裏側なんてホイホイと他人にはひけらかすものではない。出来れば秘密にしておきたい。その意味では夏彦は非常に安全な男子生徒だったと言えるのだろうね

そもそも唯が実はポンコツだったなんて、普通の立場であれば知られたってそれほど実害は無い筈。けど、唯が進学校の生徒会長でその職に固執しているなら話は変わってくる
誰もが羨望する生徒会長という表のイメージを守る存在が必要になってくる

夏彦は権謀術数が得意なタイプではないけど、女子に対して嘘を吐かない。それは自らが持つ嘘を自覚する者にとってとても安心できる盾
というか、夏彦は女性との交際経験が無いとは思えない程に女性への気遣いが出来るタイプだね。そりゃ、誰だって彼に人には明かしていないウラを任せたくなるというもの

ただ、この第1巻では唯と夏彦の間でそれほど恋愛的な進展が有ったわけではないのは少し面白いかも
夏彦は女好きな人間だけど女性をすぐに好くタイプではない。また唯は人との距離をすぐに詰めてくるけど、恋愛的な面を容易に持ち出すタイプではない
ウラを守るという意味では良いパートナーと言える二人だけど、それがすぐに恋愛感情に繋がるわけではない。今のところは


そういった意味ではむしろ別の人物が面白い動きに出ていたね
ルミは男を手玉に取る自分に喜びを感じ、人を好きにさせたいタイプ。そんな彼女は夏彦と相性が悪い。女性に対して鉄壁に近い夏彦は容易にルミになびかない
いわば夏彦はルミを必要としていない。それはルミのウラを強烈に刺激するもの
だからこそ、ルミは逆に夏彦に執着してしまったのだろうね。また、その状況は見方を変えれば、ルミも夏彦に自分のウラを預けてしまった構図とも言える

こうなってくると夏彦は親しい少女達のウラを任されてばかりの人間に思えるけど、一方で夏彦のウラをきちんと知ってその価値を受け止めている少女がいるという構図は良いなぁ
本作を読んでいる最中は何故ひよりが表紙を飾っているのか理解出来なかったのだけど、とあるシーンを読んで納得したよ

嘘のウラを表沙汰にして自分との関係を守った少年を知っている。だからひよりは今ではウラになってしまった彼の表の良さを覚え続けている
彼女が夏彦にどのような感情を抱いているのか。それをとても納得できるひよりの裏側だったね


終盤で生じた問題は殆どの人には小さな問題だけど、ウラを守ろうとする者達にとっては心揺らぐ問題
生徒会が、特に夏彦が中心になって唯を守りきったという点は、夏彦が加わって新たなスタートを切った生徒会がどのような形をしているのか如実に表す展開になったと思えるものだったね