タカツテムの徒然雑記

主にアニメや漫画・ライトノベルの感想を投稿するブログとなっています。

ドミナント 3 感想

越郎の奇妙な境遇に関し、まさか黒幕が居ただなんて……
越郎も美羽もかなり歪な言動ばかり。それは歪んだ愛によるものと単純に受け止めていたけど、まさかそれが第三者に拠って誘導されたものだったとは……

美羽と田邊による正体の知れない会話が「順調ですか?」という何気ない台詞から全く異なる色が見えてくる様子には恐怖しか感じられなかったよ


衝撃的なエピソードから始まる今巻は越郎とは何者かという点に迫る内容となっていたね
せいかにとってはギターを教えてくれる謎の先輩、美羽にとっては痛めつけても留まらせたい愛しい人
どちらであっても彼の正体が見えてこないという点では変わらない
でも、何も最初からそういう人間だったわけではなくて

椎名や田邊に見せていた越郎の姿は何処か気の抜けた青年の姿。話しかければ応えてくれるけど、それ以外の時はまるでネジが切れているように何もない

その意味では幼少期から越郎はとても空虚な少年だったと言えるのかな
不和の両親、捨てるかのような放逐、それでも盲信した帰宅
どれも越郎に何かを与えてくれるわけではないから、彼の中身は満たされない

そんな彼を最も癒やしたのは音楽の存在だったんだろうなぁ
母との依代、外界の遮音、周囲との繋がり
彼がギターを通して得たものがどれだけ尊いものだったか、他者には想像すら難しい


弾き語り曲を定めたせいかは順調にギターを掻き鳴らしていたね。ギターを使ってどう成りたいわけではない、憧れが有ったわけでもない
それでも今は聴かせたい人が居る。その人に向けて弾きたい曲がある。だからこそ惹かれた曲に描かれる理想像と現状の自分との差異に悩むようになったわけか

そういった流れだったから次の曲や文化祭を意識してポジティブになっていたせいかを襲う理不尽な暴力に絶句……
教師による暴力、威圧的な言動。対人能力の低いせいかにどうこう出来る筈もなく

読者的には彼の語る言葉は11話のものと合わせて、一連の流れの真相なのだと判るけど、越郎の事情を把握していないせいかに何が伝わるわけもなく
ただ伝わってくるのは目の前にいる教師の恐ろしさだけ

抗う術を持たない彼女がそれでも越郎に別れの挨拶をしたのは彼女の律儀さによるものか
きっとそれは田邊の想像を少し超える行動。だからこそ美羽も田邊も知らない越郎とせいかの約束が越郎の何かを変えてくれるのでないかと期待してしまうが……