タカツテムの徒然雑記

主にアニメや漫画・ライトノベルの感想を投稿するブログとなっています。

新しいきみへ 6 感想

終わった…、普通に終わった……
何というか、あのどうしようもない状況から希望を見出してハッピーエンドに繋げてみせた展開に脱帽


濱名を追うしか無くなった危機的状況、全ては彼を知る悟に懸かっている。だというのにそこで見えてしまったのは悟と濱名の共通項か
前巻にて濱名が亜希に絶望を語ったように、前巻にて悟の壮絶な過去が明らかになったように
濱名と悟は同じ絶望を抱えている。その心情のままでも悟は濱名を止める側と言えるのか?

ここで「脇役だらけのこの世界でもすべてが揃っている」という台詞が活きてくるね
悟も亜希もマナップもそして濱名でさえも全ては主役が世界を救う為の物語における脇役。だから悟が濱名とどう共感しているかは関係ない。全ては七緒が次の2014年で世界を救えるかどうかに懸かっている
悟はその点を重々承知していたようで

そうして行われた悟と濱名の会話は多数の擦れ違いを含むものとなったね
濱名は全てを期待して2014年まで辿り着いた。なのに悟は何も覚えていないままに辿り着いてしまった
今の悟に濱名を懐柔する言葉は発せられない。今の悟に発せられるのは自分を懐柔する言葉だけ。それはどうしようもない同士に思えていた片割れがどうになかなる人生を手に入れた証
悟が脇役なりに人生を全うしているなら、犯人である濱名だって脇役として世界を救う手助けができるかも知れない


全ての脇役の助けにより運命の転換ポイントへ辿り着いた七緒は全てを持っている
それこそ敵意に満ちた濱名を懐柔するきっかけさえも。濱名が履き違えてしまう猫の死骸の意味を正しく伝える事も
七緒という主役を介して自分自身の言葉を聞けたからこそ、濱名は自らの道を修正できたのかもしれないね

まさかどうしようもない程に日本が壊滅してしまうウイルスパンデミックの顛末が人情論に拠って解決へと到るとは本当に思っていなかったものだから、終盤のページを読むまで黒幕か何かが登場してまたパンデミックが起きるのではないかとビクビクしてしまったよ

兎に角、今度こそ七緒が辿り着いたのはあの2014年ではなく2013年。特別な主役ではなく、世界の何処にでも居る一般女性として
だというのに悟と再会してしまうだなんて運命的


ラストカット、偶然映り込んでしまった一同の中に七緒も含まれていた描写は無事に彼女も脇役に加われたのだと思えてしまうよ