タカツテムの徒然雑記

主にアニメや漫画・ライトノベルの感想を投稿するブログとなっています。

恋愛自壊人形 恋するサーティン(4) 感想

御伽話のような学園で生徒会長として皆を導く役目に就いていたサーティンに突き付けられたのは彼女が全く知らなかった先生の嘘か
先生への甘い恋心に溺れていた彼女が知るそれはドールにとって余りに厳しすぎる現実と限界

それでも彼女が先生への恋心を崩さないとは思わなかったなぁ…
それは深く愛しているからなのか、もはやプログラム的な何かなのかと迷ってしまう。けれど、ドールの真実を知り先生への拒否感を強めていく学園の中でそれでも変わらずに先生を恋い慕う彼女の存在は特異と言える

けれど、彼女は同時に先生への恋心に悩んでも居るから、失恋に拠って自壊するドール達の現状を正しいとも思わない
何が正しいか判らなくなった時に明かされた先生・伊邪那美鎖の正体は色々とこれまでの物語の印象を変えるものだったよ


人間との縁を作れなかった彼が求めた人形との縁。何度初期化しても作り続けたサーティンの系譜はそれだけ彼にとって特別だったのだろうけど、「すき」と言ってくれる彼女に応えてやれる彼の心は無く、また彼女の嘆きに同調してやれる人間らしさも無かった
それは非人間的な在り様。だからこそ、ドールを作れたと言えるかも知れない

そんな理解を求めない人間に対して、記憶を取り戻したサーティンが理解しようとするなんてね
ここに来て彼女の特異性が実を結んだ印象があるよ。ここに来て恋を知らないドール恋を知る人間という構図がそっくりそのまま引っ繰り返ったわけだ


鎖が明かしたSFチックな人類の現状には驚かされたけど、これによって明らかになるのはドールにとって人類は敵対者ではなく、むしろ希望として縋ってくる者達と位置付けされた点か
人類がドールに新人類の可能性を見ているなら、中心人物である鎖もドール・サーティンに可能性を見ているかもしれない
そして鎖の前に辿り着いたサーティンは存分にその可能性を発揮したわけだ。鎖をして知らなかった心をも読み解いたサーティンは彼にとって希望そのもの

ここで生じる行き違いは恋は叶えるべきかという問題になるのか?
鎖の希望を完璧に体現するのは失恋しても自壊しない、つまりは限りなく人間に近いドール。そこに至る為には先生に振られる必要があるなんて狂った話

だからこそ、ここでサーティンが別の形で人間らしさを発揮してみせたのは良かったな
結局、鎖もサーティンも人類の事情なんて我関せずと己の恋を貫いたと言える

色々と消化不良感は強いのだけど、恋を知らぬ者達が己の恋心を見つける物語としては一貫した芯が有った作品だったのだろうと思えるよ