タカツテムの徒然雑記

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石神戦記(3) 感想

イサザという少年は面白い少年だとこの巻を読んで改めて思ったよ
統治者の家に生まれながらも次男坊であった為に統治者そのものの視点は持っていない。けれど民を思う心は深く持っている

都から指示があれば江波領の統治者代理であるセイガイは罠を察知しつつも向かわなければならないと考える。でも、統治者でないイサザはそれに子供のような理屈で反対できるわけだ
勿論、そこには物事を直裁する判断力を持つヤチホが味方として存在しているのも大きいのだろうけど

そうして始まったヒイラギ連合軍への奇襲攻撃はどうにも奇妙な展開となったね
完璧な奇襲をしたのにヒイラギは既に逃れていて、代わりに居たのが瑞穂の元家臣だなんてね
当初はヒイラギを倒せばそれで終わると思われていた。でも、こうも簡単に倒せないと示され更には同族同士の戦いを誘発されようものなら、イサザの戦いの方向性も揺らいでくる
彼は完全な統治者でないからこそ、目的の為ならばと元家臣に刃を向ける事は難しい

イサザの進むべき方向性としては難しいものが示されつつも、攻城戦は迫力あるものとなったね
それもこれも戦前に城の全景が描かれたのは大きいかな。あれによって、この城をどう攻めるのかという想像を読者にさせてくれる
だからこそ、イサザやヤチホのような通常の戦法を必要としない者が居る為に戦いの常識が破られる展開が面白いというと言える
投石で敵方の足場を崩して石を形成して味方用の足場を作るなんてやられる方としては堪ったものじゃない

と、江波側が一方的に蹂躙する戦いになったと思っていたら、まさかの力試し的なものでしたか
これまでイサザとヤチホによる人間相手の戦いでは石を操る能力を知らない者に対して、虚を突く遣り方で戦ってきたのは彼らを有利としていた
けれど、少しずつ敵方に石の民の存在を知る者が増えてきた点や江波側に間者が潜んでいる点は不安要素と言える

14話で描かれた人質救出作戦はそういった不安要素が前面に出た戦いになったと言えるのだろうな
囮を用意して万全の準備をして江波側を出迎えた『目一箇の鷹』とイサザが先頭に立ち人質を助ける事ばかり考えていた江波側
そりゃ戦いの優位は始まる前から決まっている

完璧な罠に屈する事になったイサザとヤチホ。これでヤチホが敵方に囚われてしまったら江波側はかなり不利に陥ってしまうが……


気になる点としてはサクの行方かな
現状は所在不明の里で療養しているだけ。けれど、瑞穂の領主である彼が生きていると知れれば戦局を大きく変えるきっかけとなる筈
それだけに彼がいつ表舞台へと復活するのか気になる所

また、もう一つ気になる点としてはサクの面倒を見るリッカとの関係かなぁ…
サクはミオと婚姻直前まで行ったわけだけど、あれって結局は政略結婚だからサクの想いがそこに有るわけじゃない。ここでリッカとの間に恋愛感情が生まれてしまう事も有り得そうな気がするが…
ただ、そうなるとミオってどうなるの……?