タカツテムの徒然雑記

主にアニメや漫画・ライトノベルの感想を投稿するブログとなっています。

妹はカノジョにできないのに 5 感想

妹を辞めてカノジョを目指すした筈が妹に戻りそうになって
カノジョを辞めて妹になろうとした筈がその道を失いそうになって
春太の周囲で妹とカノジョを巡る展開は混沌と化していた。もしあのまま晶穂が危険な状態に陥っていたら、より混迷を極めるものになったろうね
けど実際は大した事もなく退院。それは改めて春太に猶予時間を与えるものになったと捉える事もできるのかな?

雪季や晶穂が妹とかカノジョを目指す点は変わらないけど、それを決定付けるにはまだ時間が残されている


猶予を手にしたとはいえ時は進み続ける。雪季は中学卒業の時期を迎える。それに連動してか、他の少女達も卒業を意識するかのような振る舞いが目立つ最終巻となったね。

春太郎には多くの少女が想いを寄せる。また、以前に曰くの有った少女もいる。卒業の時期はそんな少女達と一つの区切りを付ける時間ともなる
かといって、卒業は終わりそのものを意味せずこれから訪れる未来への区切りともなるわけだ

最初に訪れたのは晶穂との関係の清算
妹と知った後もズルズルと続いた関係。春太や晶穂がどのような意味であれ前に進む為にはまずそれを終わらせないといけない
そしてその清算は晶穂に春太の妹という立場を与え、逆に雪季に妹の立場を失わせるものになるわけか…
晶穂は春太に出来ない判断を時折見せるけれど、そうした強さが発揮されたシーンとなったね

他にも春太に想いを寄せる少女達による一つの区切りであり未来への飛翔を思わせるチーンがちらほらと
本作のメインはやはり雪季となるのだけど、最終巻にこうして各ヒロインの見せ場が用意されているのは好印象
特に出会った頃とは全く異なる印象を醸し出すようになった透子の挑戦的な宣言には目が引き寄せられてしまったよ


こうして各所の関係性が収まるべき所に収まった段階で知らされた秘密には驚いてしまったよ。晶穂と春太は実の兄妹という前提で様々な苦悩が生じていたのに、その前提が覆される可能性が存在するなんて
厳密に確認すれば黒か白かは判明する。でもそれは自分達はこう有るべきだと決意した関係を変えてしまうかもしれない
その意味では真実に依るのではなく意志によって晶穂を妹と定めた春太は兄として素晴らしい判断をしたね

ただ、後から思えばこの時点で雪季を妹ではないと定めた春太の決断に罅が入っていたのかもしれないけど……

いや、まさかあれだけ状況を整えておきながら最後の最後にどんでん返しを仕掛けてくるとは思わなかったよ…
他の少女達が卒業の時期を契機に区切りを見せたのだから、春太と雪季も新たな関係へ進むものかと…
2人が選んだのは原点回帰でありながらの進展。兄妹でありながらの恋人
自分達は本当の兄妹ではないと知った。それでも意志によって改めて自分達を兄妹と定義し、その上で迷走の中で確信した恋心もそのまま持ち続ける
最初から異性の境界線が無いかのように過ごしてきた兄妹が多くの境界線を認識した後も兄妹で居続けて、その上で結婚という未来へ向かって進みだした

色々と予想外な着地点へ到達した作品となったけど、妹とカノジョという相容れない関係をこうした着眼点で描いた点は面白い作品だったと言えるのかも