タカツテムの徒然雑記

主にアニメや漫画・ライトノベルの感想を投稿するブログとなっています。

あした、裸足でこい。4 感想

二斗の為に何が出来るか?これまであやふやだったその道は確固たるものへと変わった。ようやく巡の青春やり直しが本格的に動き出したという印象を覚えるよ
でも、そもそも小惑星を見つけるなんて高校生には難しい話で。道が判ったからといって、それはショートカット的なものになるわけじゃない
泥臭くやらなければ高校生の巡に小惑星は見つけられない。でも時間を掛ければ二斗のやり直しが時間切れを迎えるかもしれない

その意味では驚きの情報を与えてくれるのが二斗の回想だね
巡が経験した高校生活は無味乾燥としたものだった。でも二斗が知る巡は高校一年生の段階で毎回小惑星を見つけていた
今の巡とはあまりに異なる輝かしい姿。それは二斗との関わりがどれだけ彼の人生を狂わせてしまったのかという絶望を思い知らせるし、同時に巡が本来の道に戻る事が出来れば小惑星を見つけられる可能性への希望を与えてくれる

反面、そんな巡の活力を分けて貰おうとした二斗の渇望も見えてくるね
何度も繰り返されるやり直しの果てに魂を疲弊させていた彼女にとって、どのやり直しでも功績を残す彼の姿は道標のようなものだったんじゃなかろうか?
何度やり直しても栄光の未来なんて無いのかも知れない。でも巡は何度やり直しても栄光の未来を掴む。なら彼の傍に居れば自分も栄光へ到れるのかもしれない
二斗に芽生えてしまった甘えのような心だったのかもなぁ……
だからこそ、関わった事で彼の栄光が消し飛んでしまった未来にこれまでに無い絶望を味わったのだろうけど

逆に言えば、巡がボロボロになった人生の先に有るやり直しの中で小惑星を見つけられれば二斗が関わっても変わらずに栄光を掴める者が存在する証明となり、それは同時に二斗自身も栄光を掴める可能性へと直結するのか
巡が見つけた二斗の失踪を回避する方法は想像以上に重い意味を持ちそうだ


重大な覚悟を持って小惑星を見つけようとする巡がそうした姿勢を示せば示すほど、彼の挑戦に寄り添う真琴の想いも際立ってくるね

これまでも思わせぶりな発言から、そうではないかと予想されてきた真琴の好意。それは真琴が巡とつるむだけなら問題とならなかった。でも巡が二斗の為に行動する際もつるもうとするなら更なる深掘りが必要となる
巡が天文研究会へ向かう奮闘に付き合い、彼の為に憤る。それだけで彼女の想いは明らかというレベルだったのだけど、自分の行動原理として表明できる程とはね
しかも、こちらの真琴はやり直しの時間軸における真琴だから巡との交流もまだ多くはない。それでも彼を好きになったという事実は彼女が懐く愛情の深さを物語っているよ


とは言え、やはり物語の主題は巡と二斗の挑戦
二斗は幾度のやり直しでも掴めなかった音楽体験の満足と関わる人の幸福を
巡は二斗の失踪を回避しつつ諦めてしまっていた夢の実現を
巡が小惑星を見つける意志を明らかにし、その挑戦を始めた点は二斗にも強い影響を与えたようで。そりゃ自分のやり直しのせいで彼が夢を諦めた姿を見たなら、自分がやり直しても夢を諦めない、夢を掴める彼の姿を見たいと思うもの

その期待感は巡にも影響を与え返してくれるものになるね
今回の研究会で想像していたような成果は何も手に出来なかった。でも二斗が一度の高校生活で諦めなかったように、巡も一度の研究会で諦める気持ちにならなかった
それは間接的な二斗の肯定であり、同時に夢は諦めなければいつか叶うと教えてくれるようなもの

そうして好き合う2人で諦めない姿勢を手に出来たから二斗は巡が辿り着いた未来で待つ事が出来たのだろうね
それなのに…

二斗はそもそも交流が少なかったから彼女が何かを諦める未来を知らなかった。巡は二斗の問題を解決できれば満足な未来に辿り着けると信じていた
でも、二人の影には何度挑戦しても願いを叶えられないと諦めざるを得なかった少女が居たわけだ
想いを口にしても、一緒に夢へと挑戦しても、抱き着いても真琴は巡の隣に立つ事は出来ない。何故ならその場所には既に二斗が居るから

今のままではどうやっても訪れない真琴の未来。その為に巡が出来るやり直しなんて果たしてあるのだろうか?