タカツテムの徒然雑記

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神さまがまちガえる(4) 感想

第1話から皆一緒に過ごしていて、それがあまりにも当たり前の光景だったシェアハウス。でも何事にも始まりが有るもので
円子が最初の入居者だったとは
済む部屋を決められず流れで決めた入居。それを「決められない」ではなく「断れなかった」に変えたかさねは商売上手だね

ただ、始まりが有ったなら終わりもいつか訪れるもの
円子が出ていくと「決められた」背景には彼女の成長が垣間見える明るいものが有ったよ
一方で同居人が「消える」という点は無から生まれた紺には思う処があるようで


体が小さくなったり、甘味と塩味が逆転したり
そうしたいつも通りのバグな世界を過ごした後に突然訪れた現象には本当に驚かされたね
まさか世界からバグが無くなってしまうなんて

読者からすればバグのない世界こそ正常。太古の昔から世界がバグっていたなんて理解し難い話。だから紺達が突然放り込まれた世界はあまりにも普通でありきたり。何の変哲も無いけど、それこそ居るべき世界であるように思える
だけど、その為にバグの世界で唯一バグらなかったかさねが自分を失いかけるというのは面白い話

変わってしまった世界を受け入れざるを得ないかさねに対して紺が「バグの有る世界こそ自分にとって正しい世界」と訴える流れは胸に響く
バグの世界でバグから生まれた己は自分を主張出来る。同様にバグの世界でバグらない己は自分を主張出来る
全く異なる体質の紺とかさねの求める世界は全く同一なわけだ

そうしてバグを忘れた皆にこの世界は「正常すぎて間違っている」と訴える場面はなかなかにコミカルだけど、彼らが今までの世界で体験した欠片達をかき集めるかのような工程にはちょっとした感動が有るね
また、面前にいる者だけでなく世界そのものに願いを届けるかのように自分を取り戻してと街中に訴えるシーンは本作の集大成感がある。あの世界に生きる人達にとってバグという有り得ない現象すら自分の一部となっていたのだと伝わってくるよ

ラスト、祝福のように空から降ってきた新たなバグは世界が元通りになった事だけでなく、本作が美しい終幕を迎えられた情景すら祝福しているかのように思えましたよ