タカツテムの徒然雑記

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転生悪女の黒歴史 12 感想

遂に第一話へ至る前日譚と言える物語が明かされたわけだけど、コレ、よくもまあギノフォードはイアナを許せたなと思う程に悲惨な過去なんですが……
いや、許したと云うより追求のしようが無かったとの表現の方が正しい気もするが


自身の絶望を知るが故に薄い希望の下に嫌がらせを繰り返すイアナが行ったのはギノフォードの略奪
これでギノフォードが少しでも真っ当な青年だったらイアナとギノフォードの仲は簡単に破局していたのだろうけど、なまじギノフォードが出来た人間であった為に2人の仲は継続してしまったのか

その曖昧な期間は仮初であってもイアナに居心地の良さを提供するものとなったのが皮肉
彼女はコノハの幸福を邪魔するだけで良いのに、ギノフォードは自分を気に掛けてくれて、タクファは自分を邪険にしない
悪女として扱われず誰も不幸にせず己の力を発揮できるなんてイアナにとってニ度は望めない時間だったろうね

そしてニ度は無いなら終焉は訪れて
イアナにとっては慣れた悪女の振る舞い。けれど、その内側には理解者を失ってしまった悲哀がどれだけ渦巻いていたのだろうね……


正体を隠して変態仮面としてコノハ一行に随行するイアナの胸中は複雑だね…
理想の具現化たるコノハを幸せにしたいと願う。けれど、その為には不幸を増やさなければならない。自身については覚悟済みだけど、イアナが考えているのはその為に他者まで不幸に出来るかどうか

イアナにとって不幸にした象徴としてイザークが悪夢の中に出てくるなんてそれこそ悪夢
以前はシュヴァルツの遣り方に憤ってそれに反した彼女だけど、自分の行動で世界の命運が狂う様子を目にすれば流石に考え直さざるを得なくなる
…だからって以前助けたテナーを殺す事になるなんてなぁ……。直接に手を下したわけではないけど、彼の死を許容した。それはイアナの行動指針が変わった明確な証

なのに、それでもソルはイアナを信じようとするのか……
普通であれば悪に堕ちる主人をどれだけ状況が変わっても信じる忠臣と言えるのだろうけど、黒歴史の修正を意識するイアナにはそのような正史から外れた想いを抱くソルの振る舞いは危険でしか無い

彼を守る為にイアナが覚悟した新たな姿
シュヴァルツを従え、魔物を街に解き放ち、世界を敵に回した。それは悪女を超えて魔王と形容するしかないもの
だからこそ、正体を偽る変態仮面が安らぎの場所となるのはせめてもの慰めか…

と、しんみりしていたら、ラストでとんでも無い人物が再登場したね。死んでいたのではなかったのか……?


本作って時折度を越したギャグ表現をぶち込んでくるのだけど、あの鳥には結構笑ってしまったよ。コノハの周囲に集う鳥が小鳥なのは理解できるけど、だからってイアナに集うのが怪鳥になるのはどういう事なの(笑)

おまけに55話で神妙な感じに死んでいるシーンをどう受け取れば良かったのか(笑)
悲惨な筈なのにそういったシーンを入れ込んでくる本作はイチイチ私のツボを突いてくるよ