タカツテムの徒然雑記

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骨ドラゴンのマナ娘 5 感想

ネムに突然現れた罅は彼の存在の終わりを予感させるもの。そもそもイブが我が儘の形でネムの存在を延長させた事が本作の始まりに有ると思えば、再びの別れを予感させる罅がどれだけショックだったか想像に余りある

一方で今回は罅以上の大きな影響は生じなかった。それは猶予期間が改めて与えられたと言える
こうした点を思うと、本作はドラゴンとのコネ作りを通してイブが一人でも生きていけるようにする事が主目的だけど、もう一つの目的としてイブがちゃんとネムにお別れする事も作品の目的に含まれているのかもなぁ…


今巻のテーマとなったのは話の通じない相手から向けられる暴力にどう対処するのか?という点かな?
26話でネムが敢えて悪い巨竜になる事で危険を察知できない子供に注意を与えていたけど、これとてネムに害意が無く話が通じる相手だから注意で済む相手
相手の見定め方を間違えたら痛い目に遭う

それにビクついていたのが街にやってきたルチルとなるのかな
彼女は知らない場所で働く事を恐れていた。街に居る人々がどのような人か知らなかったから自分の話や意思が通じるか予測できなかった。だから怖かった
でも、「可哀想に……」と憐れんだ老婆に違うと言って、それを判って貰えた経験が彼女の自信となったような

その意味ではどうやっても話の通じない大鳥に攫われたのは恐ろしい経験だったろうけど、大鳥と話ができる末兄さんが現れたのは良かったね
自分では話ができなくても話ができる者を頼る事で打開できる事態もある


竜の血痕が見つかったとの一報から始まる新たな騒動は更に今巻のテーマを体現したものに
そもそも血という物が穏やかざる事態を想起させるし、訪れた場所で何の予兆もなく襲撃されるのもこれまでと違った状況なのだと実感させる

そして明かされた事態の内実はやはり物騒なもの。利害の対立による襲撃でも食物連鎖を意図する行動でもない、純粋なる暴力を楽しむ行為としてのいたぶり
それはこれまでイブがあまり関わってこなかったタイプ。それだけに彼女の情報教育上あまり宜しく無い相手

ただ、そのような懸念に反目させる要素として、イブがお別れを意識してしまったが為にネムを戦わせたくないとの想いが生まれてしまったのは親心を持つネムとしては難しい処
また、自分を舐められたくないと強く主張する六姉が隣に居た事もネムが前に出る事を難しくしたね
かといって、そこで無理に子の前に立つのではなく、一旦やらせてみようとなったネムはやはり親なのだと思えたよ

そうして始まったバトルはいたぶり方に長けた強面竜とそうではないイブ達の力量差を感じさせるものになったような
騙し討ちで戦闘から外される六姉、2対1に対処できないイブ
ならば、こちらとて同様の手段を用いれば良いと言わんばかりに立ち回ったイブ達は流石と言った処。というかイブに魔法を使う時間や隙を充分に与えたらそりゃ敵を圧倒する技を繰り出すのは当然っちゃ当然だったのかも知れないけど


イブは魔女として高い魔力を持っているけど、命の取り合いになるような戦いでは万全に力を行使できるとは言い難い点が判明した今回のエピソード
だとしたら武器のパワーアップイベントへ繋がりそうなラストのアレは、ネムが居なくなった後でもイブが生きていけるだけの何かを手にする点をより意識した杖へと繋がっていくのかな?