既に何度かに亘って重暗い感情が見え隠れしていた優梨、遂に紬に対して感情が決壊してしまいましたか…
自分のやりたい事が出来ていた時代を思い出させる東京の光景、紬が順調に選ばれているのに対し自分は…なんて感情も含まれていそうだけど、思わず…といった感じか
それにしたって「私の人生返してよ…」は面倒見られていた側からすれば重すぎて受け止めようがないよなぁ……
これは優梨の罪だし、優梨が打ち破らなければならない困難。自分の醜さを受け止めて美海との対戦に向かう優梨は格好良かったよ
それ以上に待ち構える美海も格好良かったんだけどさ
始まる星取り戦
先鋒戦が戦い全体の流れを決定付けるように、律と偏の戦いはこの一対一の歌唱バトルがどのようなものか定義するものとなったね
律と偏は養成所でも争う間柄。けれど現時点では偏が上回っている。単純に当て嵌めてしまえば律がまた負ける。序盤の勢いは完全に従前の流れを引き継いだもの
それだけに最高のバトル、律への憧れを籠めてアドリブを差し込んだ偏の熱意は良かったな。そんな予定調和崩しが律を覚醒させたわけだし
先鋒戦はどちらかの負けを願うものではなく、互いに勝ちを目指して高め合うステージと知れるものだったよ
何とも掴みどころを見出だせなかった紫織だけど、どうやら感覚を重視するタイプだったようで
アイドルを志してまだ数ヶ月なのに、ここまで来れたのは彼女に内包された才能と努力を感じさせるね
彼女はいずれ高みに届くアイドルになると予感させる。だからこそ、別の遣り方で紫織を上回ってみせた麗の戦法が輝くね
人からどう見られるか、自分が立つステージはどのようなものか。それを正しく分析できる彼女が勝つ為に仕組んだ勝利への策
この次鋒戦は一対一であったとしても、彼女らは一人で戦うわけではないと知らせるものとなるね
中堅戦は歌唱曲「化け物のうた」に相応しく化け物が跋扈するステージとなったような
劣等感も後悔も成長への渇望も籠めた小雪のオーラは凄まじいね。当初からこうした片鱗は覗かせていたけど、ここに来て彼女の適性が見えた気がするよ
対して光は小雪以上の化け物を内に飼っていたようで。クソッタレな大人に囲まれてなお、自身の死を懸けてアイドルを志してなお、極僅かな希望を求められるなんて並大抵の存在ではない
中堅戦はステージに立つ彼女らの底力を示すものとなったのかな
意外な荒れ方と収束を見せたのが副将戦か
姉妹戦と言えば聞こえは良いが、直前の諍いがバレてしまった事に拠る天秤の傾きが目立つバトルに
これ、見方を変えればいつも皆は紬の面倒を見て優梨は損をしていた人生と被るように思える
その構図が変わらないならば、紬の有利も変わらない。けれど、既に変わり始めていたのが紬自身か。いつの間にか大きくなっていた紬は優梨の先で引っ張ってくれる人間になっていた。そんな大切な存在に引っ張られて気持ち良く歌い上げた優梨の表情は綺麗なものだったよ
改めて、この副将戦は相手を蹴落とすものではないと示してくれる
これまでの歌唱バトルを思い返せば、共にアイドルを再び目指そうと誓いあった美海と依吹の戦いがどうなるかは見えてくる部分が有るわけで
それだけに次巻の大将戦がどれだけ素晴らしいものとなるのかを激しく期待してしまいますよ!