タカツテムの徒然雑記

主にアニメや漫画・ライトノベルの感想を投稿するブログとなっています。

きみが死ぬまで恋をしたい(7) 感想

ミミからのキス、ハルの問い掛け、それらによって本格的に芽吹き出すシーナの中の感情
悩み過ぎた為か、自分を疎かにした為か。名状しがたい理由で身を苛む発熱はシーナに普段なら考えない事を考えさせ、ミミにも言えない事を言わせるものとなったようで
一度でもミミに示唆してしまったなら、シーナは「答え」を見つけなければならない

そんなタイミングで始まった治療の手伝いは一時的にシーナをその悩みから遠ざけるものに。悩んでいるだけでは答えを出せない彼女にとって良い機会だけど、待たされているミミにすれば二重の意味で焦らされているようなもの

ここでミミがシーナの頑張りに反対すればまた以前と同じ展開だけど、ケンカみたいな衝突を越えてシーナの頑張りを受け容れられるようになったミミだから、頑張っているシーナを癒やしてあげたいと思うようになる
シーナがミミに対して抱いていた感情がミミにも宿り始めたのだと判る描写。だからミミに対して言語化出来ない想いを抱えるシーナの心に響くものとなったのかな


第1巻の時点で仲睦まじくキスする様子が描かれつつもどのような触れ合いが有ったのかまでは判らなかったエスタの事情。それをここで改めて描きますか

最初は一方的に突っ掛かるように付き合うだけだったエスタとヘザー。視界にも入れて貰えなかった関係が戦場に立つ事で変わり始めた
恋人と呼んで良いのか躊躇われる彼女らの関係は戦場を介してこそ成立していた。だからこそ彼女らを分かつのもまた戦場で

もうヘザーは居ないのに戦場に立とうとするエスタは何処か空っぽで
彼女はもう選びようがないから、後進に選ぶ大切さを伝える。そこでミミが話の全容は判らないままに、選んで終わりにするのを良しとしない考え方を披露したのは良かったな
終わりにしないなら、続ける為にシーナはミミとの関係に答えを出す必要がある

この「答え」を見つける問題に関してシーナが主と思われていたからこそ、ミミが先にその「答え」に繋がる感情に涙するとは思わなかったな
シーナの中でミミは「恋人」の意味すら知らない純粋さを持つイメージで。だから、自分が伝えたい「答え」をミミが正しく知っているならシーナが臆する理由なんて何もなくて
堰を切ったように溢れ出すミミへの恋慕。これに対してミミが力強く自分もそうだと返すシーンは良かったなぁ


大きな幸福が描かれたこの巻を読み、こちらも幸せな気持ちに成れそうなのだけど、一方でこれが戦争や永遠の命など恋の力ではどうにもならない環境とどう噛み合ってくるのだろうかと少し空恐ろしい気分にもなってしまう……