タカツテムの徒然雑記

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薫る花は凛と咲く(13) 感想

冒頭から語られる絢斗の過去、というより兄・省吾との関わりは絢斗の人格形成に大きな影響を与えたと判るものだね
喧嘩っ早い兄二人と過ごす環境は絢斗から喧嘩への忌避感を抜き、誰かを守る行為を称賛する省吾との会話は絢斗に正義感の基準を与えるものに

そんな省吾も年上からの影響により人格形成に影響が有ったと判る構造になっているのは良いね
誰かを助けようとした時に警官に助けられた思い出がある。そのような人に成りたいと願った経験がある
それは連鎖のようなものだからこそ、省吾が人を助ける行為に限界を感じて警察を辞めたのは絢斗へも多大な影響が生じてしまう現象
それが今の絢斗に繋がっている

でも、絢斗に繋がったのは諦める心だけじゃなくて
それが判る95話の人助けシーンは良かったけどハラハラさせられたよ
あのシーンの絢斗は人を助けながらもその行為の限界や無意味になる可能性を知っている。それでも人を助ける為に動いた彼の心には貴重な価値が詰まっている

ただ、それは役目も責任も方向性も無い危うい在り方。それを大人達が既に社会で働いている人間として、自身の在り方を話してくれるシーンは良かったなぁ
杏子が語る保護者としての責任、斉藤達が語る仕事を続ける為の方向性、そしてやりがいを見つけられる役目
進路に悩む学生組にとって、何よりも絢斗にとって良い機会となったね

だからそんな話があった後に絢斗が自分の夢を明かせたのはもう本当に良かったなと思えたよ
消えていた筈の憧れが「ありがとう」の言葉から再燃して、でも中途半端だから言えなくて
それを納得できる形へと変えられたのは今回様々な助言を貰えたからというのは有るだろうけど、何よりも絢斗がその火を自らの手で消さなかったから、あの時間へ繋がったのだろうと思えたよ


雰囲気が一変する99話と100話は極甘に極甘を塗り重ねたかのように甘々なデート模様が……!
クリスマスという尊い機会に一緒に過ごす時間、そこで感じる温かい想い。何もかもが紙面から湧き出てくるかのようで本当に甘い…

そしてそしてのあの瞬間、遂に訪れたか…!という印象
相手を特別に感じているからもう一歩を踏み出したくなる。それはいつ訪れるのかという話では有ったけど、それがクリスマスに浮かれたからではないと理解できるのは良かったな

相手を知りたいという欲、相手の特別に成りたい欲。それはほんの少し我儘な感情で。でも、そうしたくなる程の相手だと二人が感じている
極まったタイミングがアクセサリーを渡した瞬間だったという話で

甘々が過ぎる二人の幸福が眩しすぎて見ているこちらの目がやられてしまうかのようでしたよ……