がぶの行動は一種の脅しでしたか。11話での会話含め、彼女の言葉は饗にもっと考えろと促すものとなるね
そうした会話を踏まえたからか、饗は驚きの結論を出したな……。彼があの場で選ぶは「本命」の人であるべきだった。なのに、そもそも5人の中に「本命」が含まれていないかもしれないなんて、彼はまるで真っ暗闇へと自ら進み始めるかのように恐ろしい境地へと脚を踏み入れたね…
獏達5人が饗に告白したのは当初の彼には恋心に拠るもののように思われた。次に彼は恋心ではなく自分を食べる為に告白してきた者が居ると知った。恋喰を疑いつつも本命の人の為に行動してきた筈だけど、「本命」すら疑い始めたか!
けど、それは獏が不審がるように饗が5人と関わり続ける理由すら失いかねないもの。対する饗の応えは彼なりの信念を示したものとなったね
5人から告白された。そこに籠められた「好き」は全て嘘かもしれない。だとしてもウソとは思えない気持ちの為に向き合い続ける。彼は自分が誰かを好きになるとか付き合う為ではなく、自分と関わった5人を守る為に脚を進ませたわけだ
そう考えると、そのような信念ですら瑕疵があるのだと示すかのように、そして彼にはこれだけは信じて欲しいと言うかのように自らの「正体」を明かした獏は一段も二段も可愛らしくなったと思えるよ
特に16話の様子とか完全に恋する少女のそれだったからね
最初は第1巻の表紙を飾ったという意味でのメインヒロインかと思いきや、此処に来て本格的にメインヒロインの風格を備えてきたと思えるね
ただし、彼女が恋喰である以上、その想いが報われる可能性は極端に低いのがなぁ……
饗と獏は恋喰探しを一歩前に進められた状況。けれど他の少女たちにとっては現状における「一番」に選ばれなかった状況
その意味ではもっとギスギスした雰囲気になったっておかしくないのに、賑やかに楽しく守織のヘアピン探しを皆でする様子はホッとするような意外なような…
ただ、饗が恋喰との関わり方の方針を定めた際の言葉から受け取れるように、こうして関わった彼女らが友達として笑い合える関係と成れた事は良い事であるのは確かなのだけど…
不安要素としては、14話冒頭で饗からの連絡を本気で待っていたらしい守織が仕掛けたイベントの理由が本当に気不味いままで旅行を終えたくないというそれだけの理由だったのか?という点と、これまで信頼できる相手と思えていた鯉僅磊に別の面が見え始めた点か
饗の周囲は増々不明瞭な要素が見え隠れしているね…
そういや、「新入生には恋喰が4人いる」から饗に告白した5人の内4人は恋喰だ、という前提で本作を読み進めてきたけど、必ずしも4人の恋喰が一斉に饗を狙った証拠までは存在しないんだっけ?つまり、「本命」が複数人居る可能性もある?
ただし、そうであるならば、自ら告白しておきながら「友達」として傍に居続けたいというもぐの本心は何処に在るのだろうね?