タカツテムの徒然雑記

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無口な俺が深夜に通話しているのは、クラスで1番美人な優等生でした (1) 感想

デジタルの発達により様々なコミュニケーション方法が確立されている現代において、敢えて匿名による音声通話だけに制限された本作で行われるコミュニケーション方法は面白いね
文通よりも情報量は多いけれど、ビデオ通話よりは情報量が限られる。おまけに匿名アカウントで通話するから相手が誰かも判らない
本作の場合はよく通話する相手が身近な人である為に破茶滅茶な展開になるのだけどね


「無口くん」とのアダ名を付けられた事でクラスの中で喋らない男子というポジションを不本意ながら手にしてしまった千優が主人公
彼って元々コミュニケーションが得意だったわけでは無いようだけど不得意とまでは行かず。それだけにクラスの空気に迎合する為に「無口くん」を演じ続けるのは納得し難い状況。おまけにそのポジション付けが家庭にも持ち込まれてしまうとも成れば周囲とのコミュニケーションはかなり宜しくない状況と言えるね

それだけに彼がクラスとは全く別の空間にお喋りを求めたのは当然の流れか。彼の場合、通話なら普通に喋れるしおまけに声もイケボ扱いされていたのは良かった点
特に千優の目的は出会いを求めているのではなく、ただ話したいだけ。いわば相手の方から彼に話したいと寄ってくる状況だったと言えるのかな

そうして出会った、というか会話が始まった相手がヨッシーこと桜か
桜ってクラスでは優等生ポジションを獲得しているのだけど、これって千優と似たような話で自分で望んで優等生になったわけじゃないというのが2人を繋ぐ絆となっているね。2人ともクラスで得たポジションに心の安らぎを覚えられていない。だから音声通話空間で誰とも知らぬ相手からの安らぎを求めた。それが千優だけヨッシーが桜と知る事で2人の関係はより特徴的なものと成っていくね

通話での相性が良い2人は匿名性や安心感から、対面する関係ならば言えないような心の内を話し合っていくね。最初はただの好き嫌い、次第に心の深い部分
デジタル以外での繋がりが無かったらそこで終わる通話。けれど千優の場合はヨッシーが桜と知っている為にクラスにおいても彼女を助けるような行動を始めるね
けど、そこで邪魔になるのが「無口くん」というクラスでのポジション。当初はクラスに迎合する為に受忍した役割を彼は少しずつ打ち破ろうともし始めるわけだ
こういった展開は学生時代にクラスでのポジションを思うように掴めなかった人ほど応援したくなる描写じゃなかろうか


せめて桜の前だけでも無口を辞めようとし始めた千優の在り方はクラスでの桜を助け、そして彼女にとって安らぎと成っていくのは見ていて心地の良い展開だね
特に遠足のしおりを見ながらの気の抜けた会話は微笑ましいものだったよ
千優と桜はクラスでは全く喋らないまでも、頻繁に通話をしているから阿吽が判ってくる。すると相手に対してどのような返しをすれば互いが気持ち良いかも判ってくる
これってもはや恋人達の遣り取りだよね。ただ、デジタルではただの匿名アカウント同士だし、クラスではただのクラスメイトに過ぎないから発展が難しいだけで

ここに一石を投じるのは桜の方でもムックが千優であると気付き始める点か
元々桜は千優が自分を人知れず助けてくれた事から気になり始めるのだけど、ムックとの音声通話を心地よく感じるなら千優との遣り取りに心地よさを覚えるのも当然の話で

だから文化祭の出し物案について議論が発生しそうも無かった時に千優が”普段通りの会話”のノリで出し物案を出して、それをクラス全体へと広げたのは彼女にとってとても嬉しい瞬間だったんじゃないかと思えるね
また千優が助けてくれたというだけに留まらず、通話で自分を応援してると言ってくれたムックが千優の姿で誰にも明かせない心の不安に応えてくれたのはクラスの中で安らげる場所を見付けられた瞬間でも有ったんじゃなかろうか

ラスト、秘密は秘密としたままで。それでも互いに伝わっていると伝え合うような対話はとても素敵なものに思えましたよ……


そういや、この巻は完全に桜がメインヒロインだった為に桜と同じく通話相手でありながら控えに回った印象のある雫と千歳は今後が楽しみな感じかな
既に恋人を超えて結婚の意思疎通まで出来ていると勘違いしている雫も、なんか通話だとブラックな面が見え隠れしている千歳も、どちらも音声通話での遣り取りと対面での遣り取りが強く結びついていない為にそれぞれの感情は動き出していないように思えるだけに、千優の実生活に影響が生じるレベルとなってきた時に2人がどう暴走していくかが気になるね

また、そうなった時に通話でも対面でも強い絆を築きつつある桜がどう思うかも、それが通話にどう反映されるかも気になってしまうかも