表紙イラストの重さが凄まじい……!
島田と対局するのは2度目、彼の打ち方を見るのはもう何度目かも判らない。今の零は島田の打ち筋をこれでもかという程に理解している。それでも「つかみ所がない」と表現せざるを得ない程の奥深さを島田は持っている
だから彼を上回る為の研究に辞め時はなく
そんな零を受け止めてくれるひな達の在り方が良いなぁ
てか、あかりが始めた出張販売はもう軌道に乗っている感じだね!あかりの商才が恐ろしいし、それを確かな美味しさに引き上げられるひなの腕前も良い感じのようで
前巻でも言及されていたけど、それは笑顔の集まる光景。零が好くものであり、零を好いてくれるものでもあるね
二階堂も触れていたけど、これが今の零の心に満ちる温かさの源流となっている
そのような光景が描かれたからこそ、一歩間違えば空虚と捉えられそうな島田の暮らしに静かな衝撃を受ける。川本家が零を支える力となっているなら、島田を支える力はあのような暮らしに在るのかと
…それだけにドタバタした感じの出発になって遅刻までしてしまう彼の災難には少し笑ってしまったけども!対局室に辿り着いた時点で満身創痍じゃないか(笑)
けれど、彼の本質は棋士。いざ対局が始まれば再び静謐な空気が戻って来る
…と、思わせて零のジャックラッセルは継続中なのかい(笑) 「遊ばないの…?」に対して「遊びません」は当然っちゃ当然なんだけど、ここ最近の島田研の無茶苦茶っぷりを思い出すと意外な光景に思えますよ!
いや、真面目な対局であるのは確かなのだけど。零サイドが完全にコメディの空気を放つものだから、零はいつからここまで面白い存在になったのかと思ってしまうね
ただし、島田は全く以て本気。そもそもの零が放った遊びの誘いを躱したのも戦略の一つなわけだし
対局は完全に島田が支配し零を振り回している。どう見ても島田が優勢。されど、そんな島田の打ち筋に振り落とされない零も凄いね
ただ、今の零は一段階進化している。それこそ真剣勝負の二階堂を上回る程に
まあ、香車が浮いていたのは偶発的な事態に近いのだけど、それによって島田の攻撃を躱し更に逆転に繋がる一手とした
既に天秤は傾き始めた
だというのに、島田にとって戻る事を許さない音を契機に彼の更なる本質が顕わになる様は壮絶
命を削るどころではなく、まるで命を投げ捨てるかのような打ち筋。彼の述懐に現れるように、今の彼を支えているのは多くの失った光景。そしてこれ以上失って成るものかという覚悟
それは生半可な想いで打ち破れるものではない。それこそ島田と同じだけの喪失を得なければ…
という段になって零の心に去来したのが沢山の喪失の後に出会った失いたくない人との絆である点は印象的。本当にひなの存在は今の零を明るく支えてくれているのだと思えたよ
だから対局が終わった後に零を日常へと引き戻してくれるのも矢張りひななのだろうね
対して島田の家には誰も居ないのだけど、彼を呼ぶ人が居るし彼に呼ばれるようにして集まる人達が居る。それは零とはまた違った人徳の形であり、彼の失いたくない光景の一つなのだろうと思えたよ
そして、後書き&次巻予告にて驚きの通告が…
そうか、長く続いたこの物語も遂に終わるのか……
